ひまつぶし日記

主に読書まわりのことを書いて暇を潰す日記です。

映画祭ふりかえり(13日)

13日(日)は2本観た。

まず「サンティアゴの扉」を観た。どういう映画かよく知らずに観てみたんだけど、冒頭からとにかく映像の美しさにうっとりしました。空気、温度、においが伝わってくるような映像だった。光と影の対比がきれい。監督が自身の家族の歴史を振り返って撮影している映像と、その最中に家に訪ねてくる様々な人々、その人々を監督が訪ねる映像が重なってひとつの映画になっている、という感じ。

監督の家を訪ねてくる人々は、物乞いであったり、郵便屋であったり、美術監督志望の学生であったり、親族であったり、色々です。貧しい人が突然物乞いに訪ねてくるという感覚がまず日本にはないと思うんだけど、サンティアゴではよくあることなんだろうか…。物乞いに来た人の家を訪ねると、その一帯が貧民街みたいな感じで、監督の家とあまりに違っていてびっくりした。掘っ立て小屋みたいなのが何軒も連なっていて、アヒル?か何かが道に群れてるという。恐らくすべてサンティアゴ市の中の映像だと思うんだけど、あまりにも貧富の差がある。

そして、訪ねてくる人々を訪ねてインタビューすると、それぞれにエピソードがあり、監督の家族史と彼らの家族史みたいなものが対比され、重なる感覚があった。物乞いに来たマヌエルという男性を訪ねてみると、ヤク中で無職、以前は刑務所で服役していて、刑務所から脱走する際に銃で撃たれ、片肺がない。フィクションみたいな設定だなあと思うけど、事実だからすごい。しかも監督が訪ねなかったらわからない事実。それぞれにそれぞれの歴史があるんですね。

サンティアゴの美しい映像とサンティアゴの現代の実情が静かに描かれた作品だった。美しい映像に静かな音ということで寝ている人が結構いましたが!まったく!寝やがって!わたしには面白かったです。

2本目は「パンクシンドローム」。これだけは何が何でも絶対に観る!と心に決めていた作品です。作品の説明読んで、先輩とこれは絶対に面白いだろうと予想してたんです。

フィンランドの知的障害をもつ4人で結成されたバンドのライヴの様子、練習風景、4人それぞれの日常を撮影した映画。もうのっけから面白くてかっこよくて、これは市民賞だな!って勝手に思ってた。(実際市民賞とった)知的障害と言っても軽度ですが、言語障害があったり読み書き出来なかったり、パンツ替えなかったり、決められた時刻に集まらなかったりで、マネージャーはじめサポートする人々はかなり大変だと思います。4人とも面白くて、いいキャラしてるんだよなー。特にギターのペルティが最高でした。むかつくことがあると全部日記に書いてるんだけど、内容は「あいつむかつく、絞め殺してやる、殴ってやる」とかそういうのばっかりで、しかもメンバーの名前ばっかり…。実際メンバー同士でケンカするシーンが何度かあったけど、それでもいつの間にか仲直りしてバンドやってるんだからいいよなあ。ライヴやってるとき本当に楽しそうだった。

読み書きが出来ないボーカルのカリが作詞した詞と、ペルティの日記からとった詞が歌詞らしいんだけど、歌詞がかなりいい!「コーヒーはうまい」とか「グループホームなんかくそくらえ」とか「ペルティは言語障害」とか「精神病院に入れられる」とか、最高なんですよ。施設の職員とか聴いたらどんな気持ちになるんだろう…。でも彼らの率直な気持ちがそれだからね。面白かったなあ。

この映画は彼氏と一緒に観た。彼氏はまさに知的障害者施設で働いてるんだけど、「うちの施設は能力高い人でもおもちゃの太鼓叩くのが精一杯。あの4人は障害程度かなり軽いなあー。でもすごいなあ」って感心していた。

本当に面白い映画だった。監督やマネージャー達の愛を感じたし、障害をもった人にどういうサポートをしていくことが本当に彼らを助けることになるのか?ということも考えさせられた。それにしてもあのバンドのCD欲しいな。YouTubeで動画探してみようと思います。