ひまつぶし日記

主に読書まわりのことを書いて暇を潰す日記です。

映画祭ふりかえり(14日)

14日も2本観た。まず「YOUNG YAKUZA」。審査員のジャン=ピエール・リモザン監督の作品。一人の青年がヤクザの世界に入り、修行していく様子と、組織の日常について密着した映画。カンヌ映画祭でも上映され、欧州ではDVDも出ているみたいですが、なんと本邦初上映とのこと!スゲー!なんて貴重な…。

で、感想ですが、めちゃくちゃ面白かったです。今回の映画祭で観た中で一番面白かった。(パンクシンドロームと接戦だけど)何が面白いって、修行しに入った青年ナオキがいいキャラなんだ…。真面目なんだけどなんか全体的に軽いんだよな…。組のお兄さんたちもなんかみんないいキャラだった。修行の内容も挨拶の仕方とか家事とか買い出しとか。ヤクザの修行って一体…?と思ったけど、縦社会だしガチガチの組織だから、そういうとこ大事なんでしょうね。

あとちょいちょい挿入される音楽が…面白かった…。ラップがださくて…会場でも笑い声が…しかもそのラップ担当してるのが、組の馴染みの銭湯の息子だから余計笑えた。

そして組長がかっこよかった。彼のポリシー、組織に対する考えが深い。素直にこの人頭いいなあと思った。組長が語ってるシーンと、ナオキたち若手がヘラヘラしてるシーンが対照的な映画でした。ナオキは結局組織から勝手に抜けちゃうんだけど、組長はそれを追ったりしない。そういうポリシーが素敵。もちろん裏の仕事は映画には一切映っていないので、何をしてるかは知らないし、やはり怖いのですが、映画に映っていた表の顔はなんか美しかったです。美学があった。

ところで、この上映の際、ふと横を観たら、「サンティアゴの扉」のイグナシオ・アグエロ監督が!あっ!と思ったが英語もスペイン語も出来ないわたしが話しかけられるはずもなく、ただ近くで監督を見られてちょっと得した気分になっただけなのだった…。

さらに会場にはなんと映画に出ていた組長が来ていた!生組長、かっこよかったです。オーラが凄かった。

2本目は「ジプシーバルセロナ」。フラメンコダンサーを夢見る少年と、現役フラメンコダンサーのカリメのそれぞれがフラメンコにかける情熱を撮った作品。説明がほとんどなくて、正直戸惑った。ジプシー社会のフラメンコに対する伝統や情熱は伝わってきたけど、それ以上のものはよくわからなかったです。

でも本当にジプシーの人々の間でのフラメンコって特別なものなんだなーと思った。酒場で周りの大人に教えてもらったり、母から娘へ継承したり。習い事じゃあないんですね。ピカピカのフラメンコブーツで踊る少年が本当に可愛かった。カリメの力強く情熱的な踊りとギターと歌から熱気が伝わってきた。

この映画も寝てる人結構いたんだよねー。ナレーションが一切なかったからなあ。気持ちはわからなくもないが…。わたしはドキュメンタリー映画としてすごく良かったとは思わないけど、観て良かった映画です。文化の継承を見るのって好きです。フラメンコのギターと歌もすごくかっこよかったなあ。少年のおじさん歌うますぎですよ。